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王女の高い声が頭に響いて少々しんどいと思いながらも、デュークはにこりと微笑んで頭を下げる。謙虚な物腰の彼に、エレオノールは上機嫌でこう言った。
「とても気に入ったわ。何でも好きな物を好きなだけ褒美に取らせましょう。なにが良いかしら?」
気前の良いその言葉に、デュークは即答する。
「とりあえずおふとんで寝かせてください」
王女の手配した客室で熟睡した翌日。褒美や報酬はどうするかと言うことで、改めてエレオノールの部屋へと呼ばれた。
「もう、昨日はすぐに寝てしまうのですもの。ちゃんと報酬を払わないと、私が悪者になってしまうわ」
「申し訳ございません……」
いくら疲れていたとは言え、あの発言は失礼だったという自覚はデュークにもある。謝罪の言葉を幾つか口にした後、報酬はどれほどを希望するか、素直な金額を伝えた。すると、エレオノールは意外と言った顔。
「あら、黄金より高価な金属と聞いたけれど、思ったよりも控えめな要望ね」
「そうでございますか? これでも黄金を使った場合の数倍の金額なのですけれど……」
今の言葉に偽りは無い。けれども、王家の方にとってはこの価格は安価に感じられて失礼と取られてしまったのだろうかと、デュークは不安になる。すると、エレオノールは少し不満そうな顔をしたけれども、手に持っていた扇子でデュークを指してこう言った。
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