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あのジュエリーは何で出来ているのだろう。見たことの無い金属だと思いながらも、ドレスの華やかさが、控えめに光るそのジュエリーを清楚な雰囲気に引き立てている。
「さすがアモバンが紹介しただけのことはあるわね。ちゃんとパリュールと似合う仕上がりになっているわ」
「お気に召したようでなによりです」
上機嫌な王女を見て、ようやく安心できた。若干緊張が解けて表情が緩むカミーユに、王女は言う。
「ところで、報酬はどれくらい欲しいのかしら? 好きなだけ取らせるわ」
それを聞いてカミーユは真顔になる。作るのに精一杯で、報酬額の計算をしていなかったのだ。いつもなら、この仕事は家に置いてきている弟の役割で、うっかり考えるのを忘れていたのだ。
「えっと、今回布は持ち込みで、納期的に特急料金が……あと工賃が……」
真面目な顔でブツブツ呟きはじめたカミーユに、エレオノールは呆れたような顔をする。
「そんな厳密に計算しなくて良いわ。ちゃんと利益が出る金額で、多めに見積もって言いなさい。言い値を払うって言っているでしょう」
このまま厳密に計算し続けていると失礼になってしまうと察したカミーユは、ほんとうに大雑把に、多すぎるのではないかという金額を提示する。後で弟に怒られるかも知れないけれど、大きくて細かい数字の計算は苦手なのだから仕方が無い。
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