第八章 華やかなパーティー

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第八章 華やかなパーティー

 王女の身を飾る物一式が仕上がり数日後。エレオノールの誕生日と成人を祝うパーティーが開催された。メインとなる料理が乗せられている食器は、晴れた春の空色をした東洋の物。配られる紅茶は今年最も出来のよかったキーマン。父王の挨拶と各地から来た領主達から贈られた祝いの言葉の後は立食式で、各々王女に祝いの言葉をかけたり、他の貴族とワルツを踊ったりしている。  宴もたけなわとなった頃、再び皆に声が掛かった。エレオノールがこの日のために呼んだオペラ歌手、セイエンが歌を披露するというのだ。  打ち合わせ通り、楽団が演奏をし、それに乗せてセイエンが歌を紡ぐ。その声は広いダンスホールに朗々と響き渡り、華やかで、鳥の羽のように軽やかだった。  皆が耳を傾ける中、誰かが誰かに囁いた。その唇の動きを、セイエンは見逃していなかった。  数曲歌い終わった後、彼は深々と礼をしてにこりと笑う。王女も満足そうに笑みを浮かべていた。そして、そのまま王女エレオノールは座って居た椅子から立ち上がり、このパーティーに招いていたジュエリー職人のデュークと、食器などの用意をした貿易商のソンメルソをセイエンの隣に立たせ、彼らを紹介していく。     
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