第二章 ジュエリー職人

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 ノートに書かれた納期を見て、デュークはすぐに納得する。『この納期で』王女に相応しい物を作れる職人となったら、確かに他にはそうそう居ないだろう。それほどまでに短い期間が示されていた。 「そういうわけで、君にしか頼めないんだ。 厳しい仕事かも知れないけれど、頼まれてくれるかい?」  申し訳なさそうな顔をして、言外に、無理なら断ってもいい。と言う雰囲気を出すアモバンの頼みを、断ることは出来なかった。  それから数日後、デュークは王女の要望を訊くために、首都の王宮を訪れていた。自分が住んでいる館よりも何倍も大きく、豪奢な城を見て緊張する。その城の一角にある王女の部屋、そこでエレオノールと話をしていた。 「もちろん、私の好きなデザインにして良いのよね?」 「はい、そうですね。エレオノール様のご希望のデザインを元に、作れるように若干変えさせていただくかもしれませんが、概ね」  デュークが持参したノートにデザイン案を書きつつ、そう言えば。と顔を上げてエレオノールに訊ねる。 「ところで、どの様な素材がご希望ですか? どの様な宝石が、とか、どの様な金属が、とか……」  すると、エレオノールは自慢げな顔をして答える。 「私の成人を祝うパーティーなんですもの。何よりも高価な宝石と、何よりも高価な金属を使うのよ」     
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