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「選んで貰うのにセンスの良い人が良いと思ったのと、エレオノール様からご注文いただいている品目がこんな感じで」
「アッ、ハイ」
示された品目一覧を見ると、確かに一ヶ所の貿易商から全て集めるのはなかなかに難しい物が並んでいた。これらを一手に扱っているのは、この街では一番大手であるソンメルソの所くらいだ。
「紅茶、砂糖、スパイス、陶磁器、綿布……随分と色々有りますが、こちらで必要数ご用意致します」
ソンメルソが品目一覧を受け取りそう言うと、アモバンが慌てたようにこう付け足した。
「あっ、それで、あの、布の柄はエレオノール様が選びたいそうだから、持って行けるだけ持って行って貰って良いかな? 大変だと思うけど、お願いしたいんだ」
いつもは無理な注文などしないアモバンが、珍しくこんな事を言っている。いつもお世話になっている恩を返す時なのだろうと、ソンメルソはその言葉を快諾した。
それから数日後、ソンメルソは沢山の荷物と数人の従者を連れ、首都の王宮に居た。エレオノールの要望通り揃えた数々の品を、王女の部屋で披露している。
「まあ! 素敵な陶磁器ね! こんな春の空みたいな色をした物、初めて見たわ!」
「エレオノール様の成人を祝う席で使用なさる物ですから、落ち着いていて、かつ晴れやかな物をお選びいたしました」
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