第四章 仕立て屋

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 まさかそんな高貴な身分の人から依頼が来るとは思っていなかったのか、わたわたしている彼に、アモバンは懐から出したノートのページを見せてこう言った。 「納期がね、こんな感じなんだ。それだと、王女様の納得するクオリティで仕上げられそうなのがカミーユ君しかいなくて」 「アッ、ハイ」  カミーユよりも腕の立つ仕立て屋は沢山居る。けれども、示された納期内で仕上げる事が出来るとなると、確かに他にはそうそう居ないだろうと、そう思った。 「どんな布がご希望とかございますか?」 「布はね、ご自分でお選びになった物がお城に有るんだ。だから、カミーユ君にはお城に泊まり込んで貰って、そこで作って貰いたいんだ。できるかい?」  城に泊まり込みと聞いて、カミーユは真顔になる。その表情を見たアモバンも申し訳なさそうだ。 「無理言ってわるいね。 無理そうなら、他を当たるから」  そうは言うけれども、いつもゆとりある納期で良くしてくれているアモバンが、こんな納期を提示するのは余程のことだ。そこまで信頼されているのならそれに答えたい。そう思ったカミーユは、その依頼を受けることにした。     
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