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ニッチな需要をどうにか見つけてやりくりしてきた
、こたつ関連製品のメーカーである彼らの会議は、創業当時から、こたつの中で行われることになっていた。
青年としては、この慣習にも物申したいところではあるのだが、今更であるため黙っている。
「ただのお一人様商品ではないぞ、よく見たまえ」
息を吹き返した社長が、みかんの皮に爪の先をくいと入れ、声を荒げた。
そういう、如何にも起死回生らしい台詞と、食欲を、よくも連動させられるものだ。青年は辟易としながら、書類に目を通していく。
「は?」
冷静な青年らしからぬ、素っ頓狂な声が出てしまったが、どうか大目に見てほしい。読み進めるにつれ、肩を震わせた彼の様子を見れば、致し方なしと納得して頂けるはずだ。
「もう一度だけお聞きします。なんですか、これは」
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