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次の瞬間「痛っ!!」
優子は激しい頭痛に襲われ頭を抱えへなへなと座り込んでしまった。稲妻に打たれたような激痛に意識が朦朧としてきた。
暫くして痛みは治まったが、治まると同時に優子の中に《無い筈の記憶》が甦ってきた。それは、小坂と結婚してこの家で生活していると言う記憶だ。
そう、この女性は私の娘の冴子で、幼い娘は孫の麻衣3才。冴子にはもう1人子供がいた筈だわ。
そこに
「麻衣、お姉ちゃんと一緒にお風呂に入ろう」
そう言って6~7才位の女の子が走って来た。
「分かる……分かるわ。この子は孫の奈々だわ」
優子は呟くように言うと、麻衣の目線になり話しかけた。
「麻衣、お風呂に入ったら、バアバが絵本を読んであげるからお風呂に入ろうね」
優子がそう言うと、麻衣は「うん」とにっこり笑った。
「それじゃ、約束だよ。バアバ、ゆびきりげんまん」
麻衣は嬉しそうに小指を目線に上げた。
「ゆびきりげんまん、嘘ついたら針1000本飲~ます」
優子は麻衣と指を絡めてゆびきりげんまんをした。
「それじゃ、お母さん行こう」
冴子が行った。
「そうね」
優子は頷き、そして星野を振り返って見た。
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