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「それじゃ、僕は一旦 退散します。それから、あの……」
「何ですか?」
優子が訊ねると、
「いえ、何でもありません。とにかく気をつけて下さい」
それだけ言うと、星野は公園の方に向かって歩き出した。
………………
「ほらほら麻衣、そんなに動いていたら体が拭けないでしょ。良い子にしていないと、バアバが絵本を読んでくれないわよ~」
風呂から上がりはしゃいでいる麻衣に冴子が言った。
「やあだ。バアバに絵本読んで貰いたい」
「それならじっとしていなさい」
「はぁい」
麻衣は服に着替えると、お姉ちゃんの奈々と一緒に絵本を持って優子の所に走って行った。
優子がリビングで寛いでいると、2人の孫達がドアを開けるなり一気に優子の所に駆け寄って来た。
「バアバ、良い子にしてたから絵本読んで」
麻衣はそう言うと、優子の膝の上に乗った。
「はいはい。……麻衣も奈々もお風呂に入って綺麗になったね。少し前までは泥遊びしてたから泥んこだったものねえ」
優子は麻衣の顔を覗きこみながら頭を撫でた。麻衣は「エヘヘ……」と照れくさそうにしている。
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