翔との出会い

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夫が北海道へ出張することになり、大学生の息子も友達に誘われて軽井沢のペンションで泊まりがけのアルバイトをすることになった。 「気をつけてね」 2人を送り出すと、優子はホッとしてソファーに座り珈琲を飲んだ。窓の外は晴天だ。家事を済ませると優子は気分転換に近くの公園に散歩に出掛けた。徒歩で15分ほどの所にある自然豊かな公園で時々来る。 木陰にあるベンチに座って、少し離れた所で小さな子供達が遊んでいる様子を見ていた。母親達は遊ぶ子供達を眺めながらおしゃべりに花を咲かせているようだ。 「あの、隣に座っても良いですか?」 ふと声をかけられ、声のする方を見ると、20代半ば位の青年が微笑んでいた。 「どうぞ」 反射的に優子は言ったが、他にも空いているベンチはたくさんあるのに、わざわざ私の隣に座るなんて《変な人》と思った。 「良く来るんですか?」 「ええ、時々」 「そうですか。住宅地に近いのに、こんなに自然いっぱいの公園があって良いですね」 「ええ」 そう言って優子はその青年の方を見た。するとその青年もこちらを見てにっこり微笑んでいた。
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