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優子は、女性ならともかく40代になる私の隣に座り話しかけてくるなんて、余程の物好きな人だわ……と思った。
「僕、あなたのことを知っています」
突然青年が言った。
「ええっ、今、会ったばかりなのに?」
驚く優子に、
「ええ」
青年はにっこり微笑んだ。
「あなたの名前は飯岡優子さん」
「ど、どうして私の名前をご存知なんですか?」
「家族はご主人と大学生の息子さんとの3人で、今日からご主人は北海道に出張、息子さんは軽井沢のペンションでアルバイト……ですよね」
優子は驚いて目をパチパチさせた。
「ど……どうして、そ……そんなことまでご存知なんですか?」
初めて会った青年に自分のことを言い当てられて、優子は驚きそう言った。
「どうしてでしょう」
青年はそう言ってにっこり笑った。
「あっ、忘れてました。自己紹介しますね。
僕は星野翔(かける)と言って現在26才です」
「まあ、私より20才も若いのね。まるで親子ね」
優子がそう言って笑うと、
「年なんて……年なんて関係無いですよ!」
星野は怒ったように言った。
『私、何か気に障ることを言ったかしら?』
優子は首を傾げた。
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