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「あっ、ごめんなさい。僕、あなたを怒ったわけじゃなくて、あの……」
「それなら良いです」
優子は安心して微笑んだ。その優子を見て
星野はホッとしたようだ。
「実は僕、優子さんと旅をするために来たんです」
「ええ~っ( ; ゜Д゜)
あなたと私が旅を?」
「そうです。あなたと一緒に時空を越えた旅をするために、僕は来たんです」
「時空を越えた旅って、意味が分からないんですけど……」
「そうですね。簡単に言うと、今いる平成18年の世界ではなく他の時空に行くんです」
「他の時空?
ますます分からなくなりました」
「分かりやすく言うと、例えば過去に行くとか……」
「ええっ、過去?
そんなの無理ですよ。時は戻らないものですから」
「そう思うんでしたら、僕に付いて来て下さい」
星野はそう言うと、優子の手を握った。
「えっ、あの」
星野は優子の手を握ったままぐんぐん歩いて行く。優子は若いお母さん達に見られるんじゃないかと恥ずかしかったが、さっきまでいた筈のお母さん達も子供もそこにはいなかった。
あらっ、いつの間に帰ったのかしら?
優子がそう思っていると、
「そうじゃありませんよ。僕達が時空を越えて来たんです」
と星野が言った。
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