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優子は心の中を覗かれた気がして照れくさくなった。
しばらくすると、星野と優子は真っ白い霧の中を歩いていた。自分達が今、何処を歩いているのか分からない。でも、星野と手を繋いでいるので怖くはなかった。
次第に霧が晴れ周りの風景が見えてきた。
しかし、その風景は優子の知らない風景だった。
「ここは何処なんですか?
見たことか無い所に来ましたけど……」
不安気な顔をして言う優子に、
「今、『時の川』に来た所です」
「時の川?
そんな川があるんですか」
「地図には載っていないですが……」
「ええっ( ; ゜Д゜)
地図に……載っていない……川?」
「この川を越えると、不思議な世界に行けるんですよ」
「不思議な世界?」
「ええ。優子さんが想像もしていない不思議な世界に行けるんです。僕はその道案内をします。ほうら、見て下さい。綺麗な川でしょう?」
星野に言われて川の傍まで行くと、キラキラ七色に輝く美しい川だった。しかも橋の左右から虹のような七色の優しい光が出ていて、橋の上で弧を描きトンネルのようになっていた。そう、虹のトンネルだ。
「まあ、綺麗!!
こんなの今まで見たことが無いわ」
優子はあまりの美しさに暫く川面を見入っていた。
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