ウィーン国際ピアニストコンクール

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 「レオー、控室に行く前に会場の広さとか確認しといた方がいいよ」  「あぁ」  会場の扉は講義室のものと変わりがなく、ここがコンクール会場だと言われなければ見過ごしてしまうほどだった。  ザックが扉を開け、そこから覗き見る。  うわ、狭いな……  大学構内のホールと言ってもある程度の大きさはあるだろうと思っていたのに、予想よりも遥かに狭い。少し高くなった舞台に一台ピアノが置かれ、壇上から下がってすぐに椅子が窮屈そうに並べられているが、その数は多くはなかった。  これなら、前回出場したコンクールの方がよっぽど会場が広く、設備も整っていた。  いや、たとえどんな環境にあっても、そこで自分が最高の演奏をすることこそが重要なんだ。  僕はこのコンクールで、必ず優勝してみせる……!
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