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展開部で新たな動機が登場して盛り返し、再現部を経てコーダはPresto(急速に)となる。
Prestoの粒は揃ってる。
演奏としては申し分ないはずだが、譜面を追いかけることだけに終始していて、外面だけしか見えてこない。
息つく暇を与えず、更に激しさを増す終結部。
アルペッジョの激情の中で怒涛のクライマックスを迎えたが、僕の心が熱く燃え滾ることはなかった。
力強い熱情を謳った演奏ではあったはずなのに、どうしてこうも心に響かないのだろう。
何が、シューイチやモルテッソーニと違うんだろう……
シュテファンは演奏を終え、満足そうな笑みを浮かべた。
審査員の正面に立つと、優雅にお辞儀をする。
すると、審査員席のすぐ後ろに座っていた年配の派手な女が立ち上がり、『ブラボー!』と歓声を上げた。
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