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シューイチはモルテッソーニの紹介により、ムジークフェラインザール(ウィーン楽友協会大ホール)に本拠地を置く、ウィーンだけでなく世界的にも高名な管弦楽団のピアニストとしてゲスト出演することになった。
コンサートの初日、僕とザックとミシェルはモルテッソーニに伴われて演奏を聴きに来ていた。
くすんだオレンジに幾つものベージュの柱が埋め込まれ、外観からして荘厳な雰囲気が感じられる楽友協会の建物の中へと入る。
ロビーへと進むと、周囲の視線が僕らを囲む。
それは、『ピアノ界の巨匠』と呼ばれたモルテッソーニが会場に現れたという興奮に加えて、別の意味での視線も含まれていた。
僕の横を歩き始めたミシェルを睨みつける。
「……おい、恥ずかしいからその格好で僕の近くを歩くな!」
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