コンクールに向けて

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 「ねぇ、シューイチ、僕にコンクールに向けてのピアノ指導をしてもらえない?   シューイチが忙しいのは分かってるし、そんな余裕ないってことは分かってるけど、でも僕どうしてもこのコンクールで優勝したいんだ!」  シューイチは眉を潜めた。  「申し訳有りませんが、私は指導者ではなく、演奏者ですので。   指導に関しては全くの素人ですから、コンクールに向けての練習はモルテッソーニに教えて頂いた方がよろしいかと」    ダメ元で聞いてみたとはいえ、シューイチの言葉を聞き、ガックリと項垂れた。  そんな僕を見て、ミシェルは『当然でしょ』と言うかのように、クスリと笑った。  そんな中、モルテッソーニがテーブルをバンッと打ち鳴らした。  「いいかもしれんぞ!   シューイチ、レオのピアノを見てやれ。指導することによって、自分もまた学ぶべき部分が見えてくることがあるはずだ。   レオは全く私の言うことを聞かん。シューイチの指導なら、揺り動かされるかもしれん」  
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