コンクールに向けて

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 やがてシューイチは、フゥと小さく息を吐いた。  「いいでしょう。ただし、時間は私の都合に合わせて頂きます」  「シュ、シューイチ……いいの!?」  顔を真っ赤にしながらシューイチを見つめると、彼は表情を崩さずに答えた。  「私はモルテッソーニのように後進の指導をなどという献身的な思考は持ち合わせていません。   自分のピアノの向上に役立つならと、引き受けたまでです」  「それでも嬉しいよ!   ありがとう、シューイチ!!」  シューイチの練習風景を眺めていられるだけで幸せだと思ってたのに、彼から直接ピアノの指導をしてもらえるなんて夢みたいだ!!  「じゃあ、あたしもシューイチにピアノ教えてもらっちゃおうかしらぁ♪」  「いえ、ミシェルはお断りします」  「えぇっ、なんでよ!?」  「指導などしたら、貴方に何されるか分かりませんから」  シューイチとミシェルのやり取りを前に、頬が緩むのを抑えられなかった。  
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