259人が本棚に入れています
本棚に追加
「音符の数が少ないですので譜読みはさほど難しくありませんし、レベル的にもそれほど高難度という曲でもありませんので、コンクール1次予選の課題曲としては適当でしょうね。
一昨年のコンクール受賞者にもこの曲を選んでいた方がいましたし、審査員の傾向と好みにも合っているかと思いますし」
シューイチはモルテッソーニに言われて嫌々僕の指導を引き受けたと思ってたのに、ちゃんとコンクールについて調べてくれていたということに驚き、同時に嬉しさがこみ上げてきた。
「何をにやけているのですか、さっさと演奏を始めて下さい」
「は、はい!!」
姿勢を正し、緊張で冷たくなった指をマッサージしてから、指を鍵盤へと触れる。
いよいよシューイチに演奏の指導をしてもらえるのかと思うと、興奮で血液がドクドクと大きく脈打った。
最初のコメントを投稿しよう!