コンクールに向けて

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 いったん深呼吸し、生唾を呑み下すと、鍵盤に置いた指に力を込める。  2つ目の16分音符の頂点に向かって16分音符に8分音符という形のメロディが続き、staccato(1音符ずつ短く切って演奏)の8分音符は主張しすぎず、スッと消えるように弾く。弾き始めに3拍子のリズムでカウントし、曲に入る。最初は右手だけだが、左手は休符で休んでいる間に弾き始めるための手の形と最適な伴奏の歌い方を準備しておき、右手伴奏の16分休符もしっかりと聞いておく。  23小節目から半音階を2度繰り返す。2、3拍目についているsforzando(力を込めて強く)で強く弾き、直前でforte(強く)がついているので、さらに際立つように弾いていく。43小節目のpralltriller(短いトリル)は「ファソファ」と弾き、1拍ごとにペダルを踏みかえる。51小節目にはオクターブ奏法になって同じメロディが始まるので気をつけて演奏する。79小節目はメロディの legato(音と音の切れ目を感じさせず、滑らかに演奏)を大切に。95小節目からはまた瞬発的に強弱の指定が変わってくるからよく音を聴いて。199小節目の右手の16分音符はsforzandoで瞬発的に強調する場所に集中。243小節目からはまた前半部分と似た展開になるけど、こっちの方が重くて深いから、ペダルは浅めに細かく踏みかえる。350小節目からfortissimo(きわめて強く)になっているから、先ほどの場面とはっきり差をつけるようにして弾き分ける。381小節目からの16分音符は力強く最後までfortissimoで弾く。  ラストにかけては、次第に遠ざかる嵐のように弱くしていく。  ひとつもミスのないように、楽譜に沿って、注意点を思い浮かべながら演奏をした。  少しでもシューイチに、認められるように。
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