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疾風怒濤という言葉が相応しいテンペスト=嵐を思い起こさせる強烈なリズム。
彼の演奏に僕の全神経がビリビリと反応し、呼吸が荒くなり、指先から熱くなってくる。
ベートーヴェンだからこそ表現できる、新しい芸術へのあくなき挑戦とそれを支える強靭な精神力。
魂が揺さぶられ、感情が大きく波立ち、聴いているだけで命を削られていくかのように、精神に深く切りつけられる。
痛い。痛い……全身が、まるで切り刻まれていくように。
それなのに、僕の心は切なくも甘い感情に支配され、囚われてしまう。虜になっている。
展開部と同じ音型で始まるコーダは、第1主題が高らかに歌われて最後に熱を帯びる。
全身の血液が脈打ち、心臓の鼓動が鼓膜にまで響いてくる。シューイチの演奏に細胞のひとつひとつが呼び覚まされる。
そのまま彼方へ遠ざかっていくかのように、演奏は終わりを迎えた。
まるで霊に取り憑かれていたかのような全身疲労がドッと押し寄せ、それからさざ波のように全身に鳥肌がたった。
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