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それを開けてみると、一粒の大きなハートのチョコレートが入っていた。しかし、それはお店の物じゃなく周りがべとついた、とても他の人には渡せないような下手な形。
チョコレートで汚れた紙には、大きくやはり下手くそな文字でこう書かれていた。
『ハッピーバレンタイン!』
「……うるせぇよ」
チョコをモグモグと食べながら呟く俺。
その目からは、僅かながら涙が溢れ落ちていた。
これは、ホンの少しの小さな想い出。
その手紙には……ケイだけが使える魔法がかかっていた。
こんなバレンタインも、悪くはないかもな。
(終わり)
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