バレンタインも、お前も

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「えっ? 俺にチョコ?」 両手でチョコが入ったプレゼントの包みをギュッと掴みながら、相手に差し出す。俺は一つ、コクンと頷いた。 男子はそれを片手で奪い取って自分の顔の横で「ふーん」とつまんなさそうにヒラヒラさせる。 そして、俺の頭上からその箱の中身がバラバラと撒かれた。 それを見てた周りは笑いに包まれる。そして、その相手も。 「水川あのさ~、知ってるだろ? 俺は、男からのチョコに興味ねーの。変な趣味って思われたくねーから受け取れねーわ」 普段料理をしない俺が、珍しく作ったモノ。 それを、長く好きだった人にこんな酷いフラれ方をされた。 それからだった。 俺が、バレンタインどころか恋愛を嫌いになったのは。
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