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それにしても色川は、平凡な俺など足元にも及ばぬ非凡な才能を発揮して、同期の中でも出世頭となり、瞬く間に役員にまで上り詰めていた。そしてなにより、会社での評判も上司から部下まで頗る良のである。
にも拘らず、未だ独り者で浮いた噂さえもなく、しがない係長の俺などとも分け隔てせず付き合ってくれている、途轍もなくいい奴なのだ。
にしても人生とはわからないものだ。何の取り柄もない俺などが幸せな家庭を築き。方や容姿から能力にいたるまで、全て恵まれた色川が一人寂しい思いをしているなんて。誰か色川に釣り合う女性を紹介してあげられないものだろうかと、親友である俺も日々腐心してはいるものの、彼ほどのキャリアともなると、逆に俺などが係わりを持つ女性とは釣りあわないのだからどうしようもない。こうなると、色川自身が誰か気に入った女性を、早く選んで欲しいと願うしかないのだった。
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