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それにしても、俺に奇跡が起きたのも、理恵が俺のような男と付き合い妊娠したのも、娘の愛が父親の俺を残念がるのも、全ては色川と色川を振った女の所為ではないのか。
いや待て、ならば俺みたい平凡な男に奇跡が起きて、幸せな家庭を築けているのは、ぜん~ぶ色川と色川を振った女のおかげと言えるではないか。
なのに、色川は今も独身で仕事第一人間なのだ、俺には色川に感謝こそすれ責める道理などありはしない。もし理恵を振ったのが色川だったら、色川こそが俺のセント・バレンタインではなかったか。
しかし、自棄になったからとはいえ、俺なんかと結婚する羽目になった理恵には悪いとは思う。しかし、これもまた運命の悪戯のなせる業なのだから仕方ないじゃないか。俺は十分すぎるほど幸せなんだし。
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