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いや、でも私も負けてはいられない。バレンタインまであと一週間。私たちは二人ともチョコを渡す予定なのだ。
瀬戸くんの心を射止めるのは、私だ。
「やった!」
不意にグラウンドがざわめく。ロスタイムに入ったところで一点入ったらしい。入れたのはうちのチームのようだが、考え事をしていたせいで見逃してしまった。サッカー部マネージャーの風上にも置けない女だ。
ミワは私の様子を察し、私の持つスコアノートを奪い取る。
「得点者は瀬戸くん、アシストはタッキーだよ。ぼーっとしてなさんな。書いたげるわ」
「すまんのう、すまんのう」
私は謝りつつ、遠くで仲間にもみくちゃにされている瀬戸くんを見つめる。やっぱりイケメン。かっこいい。
「ひとつ貸しができたわね」
ミワがスコアノートを記入しながら呟く。ホイッスルが鳴り、試合が終了した。三対二でうちのチームの勝ちだ。
「はい、じゃあ先手をどうぞ」
「どもども」
チームの礼が終わり、みんなが戻ってくる。ミワはみんなのタオルを持ちつつも、一番に瀬戸くんの元へと走った。
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