シーソー・ゲーム

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   * 「ねえ、どんなチョコ作るの?」 「秘密」  私たちは去年と同じように、サッカー部員用の義理チョコを一緒に作っていた。  私の家はキッチンが広いので、去年も二人でここで作った。二人で協力し、手際よくサッカーボール型チョコができあがっていく。ついでに今日、二人して本命チョコも作ってしまう予定だ。なので「秘密」と言ってもどんなものを作っているかはモロバレだった。まあ、サッカーで言うところのフェアプレイである。  私とミワは、互いに本命チョコのデザイン案を覗き見した。ミワのチョコは四つのハート型チョコだが、それぞれカラフルな水玉や縞模様で彩られている。さながら一粒500円の、お店で売っているチョコのようだ。不器用な私にはとても真似できない。 「わあ、凝ってるのう。これは負けるわ」 「あんたとはチョコ作りの経験値が違うのよ。私は毎年誰かしらに作ってたんだから」 「いや、ここは気持ちで勝負よ」  ギッコン。  またシーソーの私の位置が空へと近付き、ミワがゴールの地表へと近付く。やはり料理上手なミワのチョコには敵わない。自信が無くなった。  やや憂鬱になるバレンタイン。 「……ねえ、瀬戸くんに恋人がいるって話、マジなの?」  ふと、神妙な面持ちでミワが呟く。  
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