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次の日、私たちは調査に乗り出した。
昼休み、私たちは二人で瀬戸くんのクラスをそっと覗く。
やっぱりだ。前後の席である瀬戸くんとアヤノちゃんは、仲よさげに話している。瀬戸くんはジェントルマンで、割と男女分け隔てなく話す。だが、多感な高校生が男女二人きりで昼休みにお喋りし合うのはなかなかの間柄だと思う。教室には他にも生徒はいるのに、人目とか気にしないのか。
ギッコン。
シーソーが動き、私はかなり上空へ舞い上がった。
シーソーの先には、いつのまにかミワではなく、にこにこと笑うアヤノちゃんが座っていた。そうか、私のシーソーの相手はアヤノちゃんだったのか。
サッカー部のみんなの練習を手伝っているとき、アヤノちゃんが校庭の片隅に立っているのを何度か見かけたことがある。気のせいかとも思ったが、アヤノちゃんは瀬戸くんを見つめているように見えた。ミワも、それに気付いていた。
「お前ら、何してんの?」
後ろから声を掛けられて、どきりとした。
声を掛けてきたのはタッキーだった。もうこの際だ。私はタッキーを廊下の隅に引っ張ると、ズバリ聞いた。
「ねえ、瀬戸くんに恋人がいるって本当なの? もしかしてアヤノちゃんなの?」
「なんだよお前ら、二人して瀬戸瀬戸って。俺もサッカー部でかなり貢献してるんだぞ、もっと俺にも注目しやがれ」
「話をそらすな」
私たちは詰め寄ると、タッキーは口を尖らせた。不機嫌なそうな顔で呟く。
「……知らねえよ。本人に聞けよ。俺がペラペラと喋るわけにいくか」
……なによ。瀬戸くんには本命がいるって、先にペラペラ喋ったのはそっちじゃん。
そう思ったが、タッキーは怒ったようにぷいと教室に入っていったので、それ以上聞くことができなかった。
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