第1章 出会い

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 俺の名前は「天草志狼」。天草四郎とは全然関係ない。 父親が俺が生まれる前に様々なゲームの自分の名前を「志狼」にしていて、男が生まれたらこの名前にするということで付けられたらしい。  これでも31歳という親不孝者で、仕事は電気屋さん、といってもテレビやパソコンを売っているのではなく、工事関係を主としている。平社員ですが。  親友はいるけれど、女友達はほぼいない。というのは、小中は男友達しかできず、高校は男子校、大学に行っても結局できなかった。仕事に関しても、現場や問屋で女性はいたとしても話せないほどの女性に対してのコミュ障。  そんなコミュ障な俺でも、ついに彼女ができた。彼女はとある蜂蜜専門店の店主だった。  あれは、俺が30歳の時、つまり1年前だ。仕事が久しぶりに早く終わり、帰路の途中だった。とある温泉街の一角のビルの1階にそれはあった。店の名前は「Honey Bee」。名前だけで蜂蜜が売っているとわかった。甘党の俺は珍しいと思い、車をそこへ向かわせた。駐車場は3台分しか停まれなかったが、そこには1台も停まっていなかったので、一番左に車を停めた。  外から見た感じでは、ガラス張りになっていてガラスのところに数個の瓶が置いてあった。中は余り見えなかった。どうやら、蜂蜜専門店みたいだ。
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