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僕は自ずから財布を取り出していた。
2枚、3枚、札を引く。
「これで――」
いらないと突き返されることを
心のどこかで期待してはいたが。
「いつもの3倍も出すんだ?」
予想に反することなく
テヨンは指先にそいつを挟み込んで言った。
切れ長のズルい瞳に吸い込まれるように
「たくさん……して欲しいから……」
震える声で
僕はおそるおそる本音を漏らしていた。
「こんだけもらったら朝まで頑張らないとな?」
テヨンは可愛いちょんまげをほどいて
はすっぱな顔で笑った。
掻き上げた前髪の束が
一筋二筋、色っぽい目元に流れて影を作る。
「明日……学校休んでもいいかな?」
「好きにしなよ、先生」
完全なダメ教師はその夜
カン・テヨンの前に完全に屈した。
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