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テヨンは不甲斐ない僕の手を
今度は有無を言わさず掴んだ。
「カジャ――」
僕の上着を拾うと
全ての罪深いものから覆い隠すように
しっかりと包み込んで歩き出す。
これ以上深追いはまずいと思ったか
谷は歯軋りしたままその場にとどまった。
その後どうやって学校から連れ出されたのか
はっきりと覚えていない。
何もかもがショックでぼんやりして
気が付けば日も暮れた川沿いを
僕はあてもなく歩き続けていた。
「えっ……」
いつの間にか
隣にテヨンの姿はなく。
慌てて立ち止まると
僕の背中に躓くように一回り大きな影が重なった。
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