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「誰かさんがこんなとこまで歩くから――」
「だって……」
僕らは見知らぬバス停から
乗客のいないバスに乗って来た道を戻った。
運転手から離れた一番後ろの席。
テヨンは寒さに凍える僕を窓際に押し込むと
「しょうがねえな」
わざとらく溜息をつきながらも
制服のジャケットを脱いで僕の肩から被せてくれる。
「いいよ、おまえが風邪ひくだろ」
「いいや、俺は若いし――」
そもそも鍛え方が違うんだと
反論できない逞しい身体を自負するように笑う。
「年寄り扱いするなよ」
言いながらも僕はそっと
その頼もしい肩に頭をもたせた。
そのまま目を閉じると
テヨンの腕が慰撫するように僕の肩を抱いた。
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