第8章

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「誰かさんがこんなとこまで歩くから――」 「だって……」 僕らは見知らぬバス停から 乗客のいないバスに乗って来た道を戻った。 運転手から離れた一番後ろの席。 テヨンは寒さに凍える僕を窓際に押し込むと 「しょうがねえな」 わざとらく溜息をつきながらも 制服のジャケットを脱いで僕の肩から被せてくれる。 「いいよ、おまえが風邪ひくだろ」 「いいや、俺は若いし――」 そもそも鍛え方が違うんだと 反論できない逞しい身体を自負するように笑う。 「年寄り扱いするなよ」 言いながらも僕はそっと その頼もしい肩に頭をもたせた。 そのまま目を閉じると テヨンの腕が慰撫するように僕の肩を抱いた。
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