第8章

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家について制服を脱ぐと カン・テヨンはもう立派な一人の男だ。 「サムギョプサルにはネギとエゴマの葉を巻いて。違う、サムジャンを入れるんだ。それから肉とキムチ。巻きすぎ、崩れるぞ」 「あ、はい……」 少なくとも僕にとっては 料理の上手い愛すべき暴君――。 「どう?美味しい?」 「チェゴ」 韓国語で最高と言って 僕は親指を立てて見せる。 「よし」 テヨンは満足げに笑ってわかめスープをよそう。 炊きたての飯の香り。 「さ、食おう」 湯気の立つスープの向こうに 前髪をちょんまげに結った素のテヨンの顔が垣間見える。 肉を頬張り子供みたいに米粒を飛ばして 手の甲で口元を拭う。
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