第8章

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「早く片付けろ」 冷酷に言い放って 谷は悪童たちをけしかける。 無力な僕にできる事と言えば 「おいっ……早く逃げろ……!」 四方から男たちに囲まれて立ち尽くすテヨンに そう言ってやる事だけだった。 「逃げる?」 だけどあいつが 僕の言うことを聞くか? 「僕、そんな日本語ワカリマセーン」 答えはもちろんノーだ。 「おまえなっ……」 こんな時までふざけてる。 「でも――」 テヨンは首を回すと背筋を正し 分厚い眼鏡越しに僕を見つめて言った。 「あなたが助けてと言う声は聞こえたので――助けに来ました」
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