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「早く片付けろ」
冷酷に言い放って
谷は悪童たちをけしかける。
無力な僕にできる事と言えば
「おいっ……早く逃げろ……!」
四方から男たちに囲まれて立ち尽くすテヨンに
そう言ってやる事だけだった。
「逃げる?」
だけどあいつが
僕の言うことを聞くか?
「僕、そんな日本語ワカリマセーン」
答えはもちろんノーだ。
「おまえなっ……」
こんな時までふざけてる。
「でも――」
テヨンは首を回すと背筋を正し
分厚い眼鏡越しに僕を見つめて言った。
「あなたが助けてと言う声は聞こえたので――助けに来ました」
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