第8章

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この状況で何を言い出すかと思ったら。 「助けに来ただって?」 「はい」 「こいつ頭おかしいんじゃねえか?」 皆呆れ果てたように嘲笑した。 「困ってるなら助けないと――」 それでも引かないテヨンの頬を 男が突然張った。 「もうちょっと日本語勉強してから来いよ、バーカ」 鋭い音がして テヨンの伊達眼鏡が床に吹っ飛ぶ。 「助けるって、おまえの国じゃこういう事か?」 ビデオカメラを構えていた一人が ニヤニヤしながら床に落ちた眼鏡を踏み潰した。 「はあ……」 その瞬間 テヨンの口から洩れたのは 聞いたこともない深いため息だった。
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