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「テヨン……」
長い前髪をかき上げ顔を上げる。
そこに立っていたのは
変装して影に隠れている偽物じゃない。
「マジかよ……」
僕がよく知る
強烈なオーラを纏ったカン・テヨンだった。
怯えの色など微塵もない。
露わになった力強い瞳で
「チャギヤ」
「え……」
テヨンはまっすぐ僕に向かって呼びかけた。
(チャギヤって……)
僕が学生時代に齧った韓国語が正しければ
それは恋人に対する呼びかけだ。
それに続く言葉を
僕は一生忘れないだろうと思った。
「ナルル ミドラ――」
テヨンはたった一言
こう言ったんだ。
「俺を信じろ」って――。
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