第8章

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信じろと言われても――。 相手は5人だ。 両手を使わず? 勝てるはずなんかないだろ。 誰もがそう思った。 はなから本気にしていなかった。 「悪く思うなよ」 だからかかって行く方も本気じゃなかった。 最初は――。 「おいっ……!」 少なくともテヨンの足が 相手の頭の上まで上がって 見事な上段蹴りを繰り出すまでは――。 向かって行った相手は一撃で床に沈む。 「テ……テコンドーだ」 誰かが言った。 僕を抑え込んでいた谷の眉毛が吊り上る。 「テコンドー……」 僕は格闘技には詳しくないが それでもなんとなくは知っていた。 多様な蹴り技が特徴の格闘技。 テコンドーは韓国の国技だ。
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