[3:時東はるか 11月19日7時5分]

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「おい、時東。いつまで寝てんだ」 「……南さん」  肩を揺さぶられて、時東は目を覚ました。窓からは朝日が差し込んでいる。昨日の部屋だ。そうだった。久しぶりに酒の味が分かって、嬉しくてはしゃぎ過ぎた。そのテンションで飲み過ぎた。 「なんか、悪夢だった」  毛布から抜け出して、時東はひとり言の調子で呟いた。座卓の上は綺麗に片付いている。自分が潰れた後も南が後始末をしてくれたのだろう。時東は自分が酒に弱いと思ったことはなかったが、南は遥かにその上を行っていた。ザルじゃない、あれはワクだ。 「悪夢? あれだけ酒飲んで大はしゃぎしてたと思ったら、寝たら悪夢かよ。大忙しだな」 「ごめんなさい」 「別にいいけど。美人局とかに引っかかって、妙な写真、撮られねぇようにしろよ、芸能人」 「しないから。と言うか、なんなの、その南さんの妙に偏った知識」  若干、昨日の酒が残っている。頭の芯が重い。座卓に肘をついて項垂れていると、全く酒の残っていなさそうな南の声が落ちてきた。 「飯食うか? 吐くか?」 「その二択止めてあげて、南さん」  折角美味しくいただいたものを吐き出したくはない。 「でも、気持ち悪くはないから大丈夫。ちょっと頭が痛いだけ」 「そら、あれだけ飲んだら、そうもなるだろ」 「南さんはなってないじゃない」 「俺はな」  強いですからと言わんばかりだ。俺も、もう少し強くなりたい。時東はそのまま座卓に撃沈した。ついでにもう少しだけでいいから休みたい。
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