第1章 ジャニュアール王国

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公爵令嬢誘拐事件から1年。 今年もイーゴはギルドカード更新の為に、世界樹の島から大陸に渡っていた。 世界樹の島ではイーゴも正体を隠さずのびのびと暮らせるが、大好きなスイーツはお預けだった。 もう限界だった。今、イーゴの頭の中はスイーツの事で一杯だった。 そこでイーゴはサンディール王国で依頼を受ける事より、ジャニュアール王国のカフェでスイーツを食べる事を優先する事にした。 王都マーチェットの南門を潜ると、すぐ脇に憲兵詰所がある。 イーゴはふと気になって詰所の掲示板に目をやった。去年そこにあったイーゴの手配書は無くなり、指名手配の犯罪者の顔が並んでいた。 詰所の扉が開き、2人の男が話をしながら出てきた。 「世話になったな」 「おう、これで念願の冒険者に戻れるな」 「お前には悪いが、もう兵士は懲り懲りだよ」 「規律が守れなくて、よく叱られてたもんな」 「元々規律やら規則やらが苦手で冒険者になったのに、今さら周りに合わせろって言われてもな」 「違いねえ。元気でな」 「おう、お前も元気でな。頑張って出世しろよ!」
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