第1章 ジャニュアール王国

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「あの建物は?」 近くを通りかかった女性を捕まえて、道の向こうの建物を指差す。 「金色教の本部ですよ」 王都では金色の鷲を崇める人が爆発的に増え、とうとう新興宗教として神殿を構える程になったそうだ。 「エエッ!?」 その鷲の正体は俺ですとは、口が裂けても言えない。 神殿というには少し小振りの建物は、白い大理石の壁が高級感を漂わせている。よく見ると細かい飾り彫りがされた凝った造りだ。尖った屋根の上には金色の鷲が優美に羽を広げている。 「今日は集会がある日なんですよ。あなたも見学してみませんか?」 どうやら質問に答えてくれた女性も信者だったようだ。 丁寧に断って、イーゴはその場を離れた。 イーゴは自分が人間から神の遣いと呼ばれているのは知っていた。 遥か昔神の手伝いをし、その褒美として永遠の命を賜ったのだから、あながち間違いとは言えない。 でも神殿まで出来てしまうのは、何か違うとイーゴは思った。 これではまるで神ではないか。 ただの食いしん坊な鷲に人々は何を求めているのだろうと首を傾げながら、イーゴはカフェへと足を運んだ。
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