私が傘をささない理由

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私が傘をささない理由

白と黒と灰色でできたマーブル模様の空から水滴が滴り落ち、ぽつりぽつりと音楽を奏でる。その中を私は傘をささずに一人、歩いていく。水にうたれながら歩いているうちに、色々なこと。嫌なことや忘れたいことが全部、洗い流されていく気がするから。道路は様々な色の傘で埋め尽くされ、駅前の時計は6時10分を指していた。いつも乗っている電車、5時59分はとうに過ぎてしまっているので、次の電車に乗るしかなかった。まあ、雨だったし仕方がない。問題は、次の電車までの時間をどうするか。そういえば、駅ビルの中に新しくできた本屋があった。買いたい雑誌もあるし行ってみよう。
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