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いわゆる商社冬の時代を終えた2000年あたりから我が社も急成長期に入り、資源依存だった収益方法も大きく変化しました。
それと同時に出世コースというものも変わりつつあり、昔は出向が左遷なんて言われていたようですが、今ではエリートと呼ばれる人達はあちこちに出向して経営をリードする人材になるべく様々なスキルを身につけるようです。
片桐先輩も例外ではなく、入社して海外研修を終えると出向に次ぐ出向で、どこかのメーカーでは炭焼き器やたこ焼き器や鍋を死ぬ程売りまくったとかで、鍋のアニキなる異名がついたそうです。
で、それが何で人事部にいるのかというと……噂によると竹澤さんが採用制度の改正をする際に引き抜いたとかなんとか。詳しくは知らないですが、とにかくこちらも押しも押されもせぬ人材です。
「ブスがブスっとしてるとさらにブスになるぞ」
上司は部下を大切にするものではありませんか?
それなのにいつも私の顔を見てはあれやこれやと難癖つけて来るではありませんか。
酷くないですか?
「では、ブスはブスらしく潔くブスブスとしています」
「ははは。このブス開き直りやがったな」
「あまりブスブス言わないで下さい。余計ブスになりますから」
「いや、お前の方がブスの回数多いぞ?」
「ブスブスブスブスブスブスドブスで御座います」
「ぎゃはは! アホな奴!」
それが毎日様式美のように続くので、私もいい加減慣れっこになりましたけれど。
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