第2話 俺様系男子の策略

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「あ、そうだ瀬野。お前今夜空いてる?」 「え? 今夜、ですか?」 片桐先輩からの突然のお誘いに、驚きを禁じ得ません。ランチなどはご一緒しますが夜はありません。ふたりきりなのでしょうか? 何の用でしょうか? 「えっと、今夜は、えっと」 今夜は新しくリリースされた乙女ゲームを徹夜でやろうと思っていたんです。 「上司に誘われたら予定があってもイエスと言え」 でも、乙女ゲームが。 「じゃーん。これなーんだ?」 渋っていると、先輩はポケットから何かを取り出しました。赤と青のコイン。 「何ですかそれ?」 「正しい未来の選択」 「はい?」 ちゃらちゃらと手の中でシェイクすると、左右の拳の中に1枚ずつ収めました。 「赤だったら、お前は今夜俺に付き合う。青だったら、帰ってもいい。さぁ右か左どちらか選べ」 「はぁ……では左で」 左の掌を開けると、出て来たのは赤のコインでした。 「よし決まりだな。21時に駅前の八兵衛。つーかどうせ用事ないだろ」 通達しさっさと自分のデスクに行ってしまいました。 どうせ用事ないだろって横暴すぎませんか。いえ、おっしゃる通りなのですけれど。 赤のコインを選んでしまったのは私ですし、俺様には逆らえませんから行きますけど。
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