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「さぁなぁ。それは分からん。何せあの人は自分の話はしないからな。ただ、長い間付き合っていた女がいたとは聞いたことある」
付き合っていた女性?竹澤さんを独り占めしていた女性?
「ぶっ!? な、なんだおまっその顔は!? ぬらりひょんかよ!? ぎゃははははははっっ!」
「だ、だって、切ないですよぅ」
この後しばらく私のあだ名がブスからぬらりひょんになった事は言うまでもありませんね。
「お前、ちょっと変わってるよな。面白い女だ思う。俺はまっぴらゴメンだがな」
片桐先輩はタバコに火を付け、目をきゅううと細めながら私の顔の造作をひとつずつ分析するかのように眺めています。
そうして、ふぅーと煙を撒き散らすと驚くべき発言をします。
「瀬野。お前の恋、この俺様が出来る限りバックアップしてやる」
片桐先輩が私の恋を応援ですって?
正統派俺様のこの男性が、何故唐突にそのようなことを言い出したのでしょう。私が足りない頭で思考をまとめるよりも先に先輩が口を開きました。
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