プロローグ

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瀬野愛香(せのあいか)と申します。 大人の男性にはまだまだ小娘と呼ばれるような中途半端な齢の女です。 特にこれといって特技はありません。器量がいいわけでもないし、頭の回転も遅いですし、英語もいまいちです。 ただ、ひとつ運が良かったのです。 今からほんの数年前、就職活動の時です。 思い出受験ならぬ思い出エントリーした大手総合商社に奇跡的に採用されたのです。 説明会参加からのウェブテスト、学業成績の提出、書類選考を経て一次面接へ。私の場合、もともとが思い出エントリーでしたから。気負う必要などありませんでしたから。 明るく楽しくナチュラルに学生の時に行った活動と、社のルーツについて語りました。コンピテンシー面接というのは後から知ったのですが、私は偽りも見栄もないのでどれだけ掘り下げられても剥がれるメッキはありませんでした。 それが人事担当の方にウケたのか何なのか、あれよあれよという具合に二次面接三次面接を経て採用に至ったのです。
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