第3話 土曜の葬式

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葬儀は滞りなく終わりました。 その後は先に聞いていた通りに、ご相伴に預かりわいわいとした雰囲気に混ざりました。 本当は騒ぎたいのに故人に対して遠慮がちの皆さんは、やがてお酒を免罪符にして騒ぎ始めました。 「さ、さ。あなた達もどうぞどうぞ」 同罪だと言わんばかりに次々とお酌をしにやって来ます。 私のようなザル体質ならば平気なものですが、飲みやすい割には度数の高い日本酒で標準的な体質の方にはきつかったかもしれません。 「竹澤さん、大丈夫ですか?」 「うん、大丈夫だよ。商社マンは飲めてなんぼだからね」 とか言いつつ完全に酔っ払っています。 帰らなくてはいけない時間になったので私達は先に失礼しました。 フラフラしている竹澤さんを時に支えながら、私がしっかりしなくてはという思いでバス乗り場まで向かいます。 が、そこにはぺろんとビラが貼られていたのです。 山の方で小さな土砂崩れがあったので今日はもう出れない、と。 「What!?」 一山越えなければならないこの僻地。 どうしようと思うよりも先にラッキー!と思いました。 純粋に、1秒でも長く一緒にいられる幸運に喜んでいたのです。 そうして、私達は町に2軒しかないビジネスホテルに行くのですが、空きがもう一部屋しかないと言われてしまいます。 「た、竹澤さん……どうしましょう……?」 ラッキー半分困惑半分。 上司は愉快そうに一緒でいいよと笑うのです。襲ったりしませんよ、と。 こういついきさつを経て、一夜を共に過ごす運びになりました。
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