第4話 クレバーに立ち回る

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「で」 「いえ、竹澤さんはとても酔っていてベロベロになっていたんです。だから私だと思っていなくって……」 「は?」 「寝言で、かえで、と言ったんです。なので多分他の人と間違えたんです。その後すぐ眠ってしまって……。もう何も覚えてないと思います」 「で。お前、透さんにチチ揉まれるだけ揉まれて帰って来たんか」 「そ、そんなにたくさん揉まれてはいないんですけど」 「ティクビ摘まれたんか」 「いえ、ティクビは摘まれていませんけど」 アニキがブハッと吹き出しました。 「ぎゃっははははははっ! ヒサン! それは超ヒサンだ瀬野! チチ揉まれるだけ揉まれておやすみなさいて! しかも相手は自分だと思っていない上に覚えてないとか! 俺なら死ぬ! 生きてけん! ぎゃはははははははっ!!!」 「ヒ、酷イ!? アナタナゼ、ソンナワタシ笑ウデスカ!?」 「バカヤロウ! こんな笑いはどこにもねぇぞ! ぎゃははははははっ!……ヒィー!ヒィー!」 糸が切れたように大笑いするのです。アニキに話した事をとても後悔しました。 ですがひとしきり笑いころげた後、真面目な顔に戻りました。反省したのでしょうか? 「かえで……楓?まぁ例の長い春の元彼女だろうな。あの人、通りでお嬢様に手を出さないわけだ。なるほどねぇ」 「……やはりそうなんですかね」 「男は過去の女を引きずる生き物だからなぁ。瀬野、相手は相当手ごわいぞ。どうすんだお前」 どうするんだって。 諦めるかどうかという意味でしょうか。 前にも言いましたが、恋愛は闘いなのです。 ここで身を引けばもう痛い思いはせずに済みますよ。 「いえ、まだ頑張りますっ。まだまだですよアニキ!」 アニキに大爆笑されて吹っ切れたんです。 逆転の発想をすれば、楓さんは竹澤さんの所に戻っていない。私に勝機がないわけではないと思ったんです。 お前なんか嫌いだと言われるまでは諦められません。
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