上司に恋しています。

第1話 竹澤さんについて

竹澤さんについてです。

初期配属はエネルギー事業部でトレーディング担当。収益拡大に向けた非資源ビジネスの企画が採用されライフスタイル事業部に異動。事業投資・経営ビジネスの先鋒としてカフェベーカリー店を億規模に発展させる。企画力を買われ経営企画室に異動。資本業務提携を結んだA社と共に欧州メーカー企業を共同買収、収益化させPAI統合にも成功。

旧態依然の採用制度の見直しの企画立案。起案者として人事部に出向し今に至る――と竹澤さんの会社人生は企画立案からの出向が続き、しかもことごとく当たり、華々しいエリート街道まっしぐらです。

何故こんな詳しいのかって言うと、調べ上げたからです。きもい？ええそれはもうその通りです。

初めてお会いした時の印象で、絶対オフはドSだよこの人、と思いました。
あれこれと優しいのはまだ私達は入ったばかりの子羊だからで、慣れれば、マンガや小説などでありがちなドSな俺様キャラで接して来たりするのかなぁと、勝手に妄想していました。

俺様キャラ……というのはほら、アレですよアレ。お前のモノは俺のモノ、俺のモノは俺のモノだぁ、みたいなジャイアニズムを持っている人です。

強引で、不器用で、怒りんぼうで意地悪だけど、たまに女子がキュンとくるような仕草を見せてくれる、かわいい人。

この正当派俺様キャラと呼ぶにふさわしい男性はもう1人いるのですが――この方については後ほど。

竹澤さんはジャイアニズムなど持っていませんでした。終始、優しく人当たりのいい上司でした。