第57話 誓い

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竹澤さんと都子さんの2人の誓いの儀式。 讃美歌の合唱、聖書の朗読と祈祷が終わると、誓約の問い掛けがされました。 「夫たる者よ。汝、健やかなる時も、病める時も、常にこの者を愛し、慈しみ、守り、助け、この世より召されるまで固く節操を保つ事を誓いますか」 後から振り返れば、指輪の交換の場面より、誓いのキスの場面より、何よりもこの時が一番緊張していたと思います。 竹澤さんの誓い。 神様を前にしての誓い。 目を開き、耳を済ましながらしっかりと見届けなくては。 「誓います」 柔らかな声が礼拝堂に響きました。 * お式の後は宴です。 内容や進行は普通の披露宴と変わりはないのですが、ただ普通と違う事と言えば。 「ちょっと、ちょっと! あのテーブルに俳優の小田桐慎吾がいる! 私、大ファンなのよ! ステキだわ!」 アネゴの目がらんらんとしています。 「はぁ、誰ですかそれ?」 「は!? 超人気俳優じゃないのよ! 何で知らないのよ!?」 「すみましぇん……」 「ミーハーだなぁ」 先輩が口を挟みます。 「うるさい! 宗佑先輩は黙ってて! それにしてもやったら人が多いし、著名人も結構いるし、ほんと凄い披露宴ね。あっ、ほら、あの人は今ドラマに出てる――」 私はあまり詳しくはないのでよく分かりませんがこの披露宴には芸能人はもちろん、企業の重役や政治家、著名な方々が多数出席されているみたいです。 「堅い方は透さん、そうじゃないのは都子さんって感じ?」 竹澤さんも顔が広いのでしょうがあくまで仕事関係者が基本のようです。都子さんは幅広くお友達がいるようです。 私のような一般人から見て、こういう方達とはどのようなところに行けばお友達になれるのか、甚だ疑問です。
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