第1話 竹澤さんについて

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話が戻り、そのパソコンがどうなったかというと。 「倉庫に使用していないノートパソコンが数台あるから、一先ず今日の所はそれで乗り切って。今やっている仕事は明日までだよね?」 「はいっ!」 そうなのです。課長様から頼まれているお仕事は、明日までに仕上げなければならなくて、あまり時間に余裕がないのです。 「あの、倉庫、の、どのあたりにありますか?」 倉庫はすぐそこです。人事フロアを出て右に入った所です。でもあの雑多な中のどこに何があるかというのは把握していません。 「んー。一緒に行く?」 「え!? いいのですか!?」 「丁度倉庫に用事あるから」 「宜しくお願いします。すみません!」 倉庫は薄暗く埃臭い密室です。棚がズラッと並び資料や物がびっしり置かれています。 「この辺に……あれ?どこだっけなぁ」 竹澤さんはがさごそとパソコンを探していらっしゃいます。私はといえば、突然の状況に心臓がばくばくと音をあげておさまりませんので、一寸離れた場所から見守っていました。 だって、密室。しかも初めてのふたりきりなんです。これまでふたりきりになった試しがありましたか。ありません。人事は外出は多々ありますが、複数行動が多いです。そもそも竹澤さんは不在が多い方です。だから、全くもって、ふたりきりなど。 それにしてもなんだか鼻がむずむずしますね。埃のせいでしょうか。 ここは堪え偲ぶしかないですよ。何せ、竹澤さんの前ですからね。素敵な上司の前ですからね。品よく、品よく――。 「へっぶしょーーーーいっ!」 ああああああああーーーー!!!!!?
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